デザインは豪華、音は4本ロッドから奏でる美しい和音、巨匠ラファエロの描いた天使像がある、いろいろと語りたくなるグスタフベッカー製のフリースウィンガー型の掛け時計です!ちょっと順を追って説明していきますね。
メーカーは世界でも人気が高いグスタフベッカー(Gusutav Becker)で、万博で金賞を受賞するような品質の高い製品を作っていたことが知られています。ケースもがっちりした造りの時計が多く、質実ともに世界で人気のあるメーカーです。フリースウィンガーとは振り子が外に出て振るタイプのデザインのことです。振り子の下がバルコニーのデザインになっているのもフリースウィンガーでは珍しい形です。
文字盤や振り子に植物柄をモチーフにした曲線が見られますが、ドイツやオーストリア地方のアールヌーボーのデザインです。ドイツの伝統的な時計のデザインとも融合しています。上部の飾りでは天使がこちらを向いています。モチーフは、ルネサンス期の巨匠ラファエロ・サンツィオの作品『サン・シストの聖母(聖会話、システィーナの聖母)』(下の画像参照)に描かれている天使の一人でしょう。無邪気に次に誰に幸せの矢を放つのか悩んでいるようにも見えますね。
普通の時計は渦巻き鈴やロッドが1本で音を出しますが、こちらの時計は4本のロッドを叩いて和音が出ます。それぞれのロッドの長さが違いますので高い音から低い音までの4つの音が鳴るというわけです。この点については当時の時計では※11000台に1台よりも低い確率でしか存在していない、かなり珍しい時計です。
その他に珍しい点と言うと、振子室を覗く左右の窓がグスタフベッカー純正の金属の蓋になっている点があります。「GB」の文字が象られています。振り子の振り幅がわかるビートスケールも真鍮製の金色のものが付いています。上のイーグル飾りは後から交換されたもののようですが、この時計の歴史として格好もいいイーグルですし、そのままにしてあります。
時計のテーマ 豪華さ 威厳 神秘性 美しい音色
制作は機械の構造やケースの素材・デザインから1900年頃と推定されます。音は毎正時と半に鳴ります。1週間巻き。ケース素材はウォールナットの無垢材とツキ板。巻き鍵付き。アンティーク・ヴィンテージ品ですので使用や経年によるキズ・汚れ等がございます。